当社は、放射性医薬品の製造販売だけでなく、非臨床のPETイメージング試験(薬剤の分布評価、治療効果評価など)の受託事業を行っています。PETイメージング試験では、創業以来の放射性医薬品の研究開発で培われた合成、撮像技術を生かして、18Fや89Zr放射性同位元素(RI)の取扱いや、薬剤としての合成、動物でのイメージング実験等を請け負います。当社で長年蓄積したPET診断薬事業での技術とノウハウを最大限に活用することで、医薬品や再生医療製品の研究開発の効率化を側面から支援します。
PETイメージングとは
PET(ポジトロン断層撮像法、Positron Emission Tomography)イメージングは、放射性同位元素(RI)で標識した薬剤を生体内に投与し、体外からカメラで撮像することで、放射性薬剤の生体内での分布状況を画像化する技術です。 生体内の薬物動態を可視化するPETイメージングは創薬研究に有用なツールです。近年、医薬品の研究開発において、開発候補化合物の薬効や、臓器や細胞などへの取り込みが、想定されたものになっているか確認する手法として、分子イメージングが注目されています。中でも、すでにがんや脳機能の診断に使用されているPETによる分子イメージング(PETイメージング)は、開発候補化合物の代謝過程の評価や、バイオマーカーとして病態の確定や治療効果の判定ができる手法として期待されています。
PETイメージングの特徴
1.生体内での分子の動きを可視化
生きた状態の生物にダメージを与えることなく化合物の体内動態を可視化し、経時的に定量評価できます。
2.RIトレーサーの選択によってさまざまな化合物のイメージングが可能
RIトレーサーの選択によって生体機能に則した評価が可能です。RIの標識は低分子化合物だけでなく、抗体を含むさまざまな化合物に適用可能です。抗体医薬などバイオ医薬品の研究開発にも応用できます。
3.薬効評価に有用な指標の検証が可能
特徴的なRIトレーサーを併用することで、開発候補化合物のさまざまな機能を評価できます。創薬研究において、開発候補化合物の標的部位への到達状況や受容体の占有率などを検証でき、開発候補化合物の薬効の有無や最適用量などの見極めに役立ちます。
当社の受託サービスのポイント
開発候補化合物の薬物動態の評価
RI標識した開発候補化合物の薬物動態を評価*することができます。開発候補化合物の特徴に応じて、18F、89ZrなどさまざまなRIを選択できます。
*化合物の構造等によっては、開発候補化合物そのものでの評価ができない場合があります。
幅広いRIトレーサーをラインナップ
標的とする機能を評価できるさまざまなRIトレーサーを選択できます。
複数匹同時PET撮像
通常のPET撮像では、1回の撮像で動物1匹のイメージを収集しますが、当社の受託サービスでは、動物種によっては1回の撮像で2匹または3匹を同時にイメージ収集でき、試験期間の短縮とコストの低減を実現しています。
霊長類(マーモセット等)を用いたPETイメージング
当社の受託サービスでは、マウス、ラットのげっ歯類だけでなく、霊長類であるマーモセットを対象としたPETイメージングも実施しています。
サービス事例
11C- RacloprideのD2R受容体占有率の評価
- 各投与量での関心領域の放射能集積が用量依存的に低下
- 各部位に設定したROIの%ID/mLから、受容体占有率を算出
18F-Altanserinのセロトニン2A受容体占有率の評価
- 各部位に設定したROIの%ID/mLから、受容体占有率を算出