ブルークローバー・キャンペーン2010

PSA検査の大切さを、1ショットに込めて
「BLUE CLOVER JOYX OPEN2010」開催リポート
「前立腺がんの早期発見・適切治療」を推進するブルークローバー・キャンペーン。その理念を多くの人に知ってもらい、また末永く健康でゴルフを楽しんでほしいとの願いから、ゴルフのオープン大会に協賛。
「BLUE CLOVER JOYX OPEN 2010」として6月12日、JOYXゴルフ倶楽部 上月コースで開催されました。プロ65人・アマチュア55人の選手が参加し、白熱のラウンドが繰り広げられた当日の模様をお届けします。
※本大会は2009年に水害を受けた佐用町を支援するため「がんばろう佐用町」をスローガンにチケットの売り上げをすべて佐用町に寄付させていただきました。

ブルーに彩られた選手たち

ブルーのアイテムをまとって、熱戦が始まる

絶好の晴天に恵まれた「BLUE CLOVER JOYXOPEN 2010」当日。伊澤利光プロをはじめとする、有名ゴルファーたちのプレーを見ようと、JOYXゴルフ倶楽部上月コースには、早朝から大勢のギャラリーが訪れました。

会場に到着したギャラリーのみなさん。まずは、ある光景に目を奪われることになります。それは、青い色のアイテムを身につけた出場ゴルファーたちの姿。それぞれが思い思いのアイテムに“青”をあしらって、ラウンド前のウオーミングアップをこなします。実はこれ、前立腺がんの早期発見・適切治療の大切さを伝える「ブルークローバー・キャンペーン」の趣旨に賛同したゴルファーたちが大会を盛り上げようと、キャンペーンのシンボルカラー“青”を身にまとった粋な演出。大会ボランティアには、いつもゴルフトーナメントを支える有志の方々に加え、今回は地元・佐用町のみなさんも参加。そろって青色の帽子をかぶるなど、コース全体が「BLUE CLOVER JOYX OPEN 2010」の名にふさわしい、心地よい一体感に包まれました。

そしてクラブハウスの前では、ブルークローバー・キャンペーンの活動内容をもっと知ってもらおうと、ブースを展開。特に40歳代〜50歳代、いわば「PSA検査開始適齢期」ともいえる年代のギャラリーをはじめ、多くの人が足を止めていました。

地域とゴルファーが手をたずさえて

アマチュアとして参加した堤郁也さん(48)は、特別な思い入れを持って大会に臨んだ1人。普段は人間ドックなどの健康診断を行う施設に勤務する堤さんは仕事柄、PSA検査の重要性を認識しているのはもちろんのこと、つい最近、大切な義父を前立腺がんで亡くされたばかりだそうです。「4年前に前立腺がんが判明したときは、すでに骨に転移した状態でした。早期発見できなかったのが残念でなりません」と堤さん。前立腺がんの早期発見・適切治療を推進する「ブルークローバー」の名がついた大会に、このタイミングで参加することに何かの運命を感じるといいます。「この大会とキャンペーンを機に健康の大切さをいま一度かみしめてもらい、特に50歳を過ぎた男性の方は、自分のためにも、そして大切な人のためにも、PSA検査を受けてもらえれば」と話してくれました。

優勝した小田孔明プロ(右)とボランティアのみなさんで大会後の記念撮影(中央)

熱戦を制して優勝に輝いたのは、2009年度賞金ランキング3位の小田孔明プロ。みごと大会2連覇を果たした小田プロからは、昨年水害で大きな被害を受けた佐用町に、優勝賞金の半分を寄付するという心温まるコメントも。ボランティアはもちろん、ギャラリーからも大きな拍手が送られました。

開催地である佐用町と有名ゴルファーのきずなが深まり、来年以降も、さらなる盛り上がりが期待される「BLUE CLOVER JOYX OPEN」。「今後、日本でも増えるかもしれない前立腺がんの早期発見・適切治療を啓発するブルークローバー・キャンペーンの活動に、これからも協力していきたいです!」という小田プロの力強い決意表明で、今大会の幕は閉じられました。そして、そんな小田プロの帽子には、ブルークローバーのピンバッジが輝いていました。

※大会に関するお問い合わせは
株式会社JOYX TEL 0798-37-0360(土・日・祝を除く10:00〜17:00)

あの伊澤利光プロも、PSA検査を体験!
自分のため、家族のため「PSA検査」について知ってください
【いざわ・としみつ】
1968年生まれ。21歳でプロに転向。アメリカのミニツアーに4年間参戦し、世界を目指すプレーヤーと共に戦ったのち、国内のツアーに参戦。95年の日本オープンで初優勝を飾る。2007年は日本プロゴルフ選手権で復活優勝し、日本オープン・ツアー選手権の3冠を達成。01年・03年賞金王。

同じプロゴルファーの大先輩の方、さらに近いところで言えば父親など、周辺の身近な人が前立腺がんにかかり、僕も「他人事ではない」という意識があります。今回初めてPSA検査を受診してみましたが、普通の血液検査と一緒で、簡単に済むんだな、というのが率直な印象ですね。50歳を過ぎたらPSA検査を定期的に、ということからすれば、年齢的には(42歳)早いのかもしれません。でも「早すぎる」ことはないですよね。こんなに簡単な検査だし、ぜひ早いうちから意識して、みなさんも率先して受けてほしいなと思います。

PSA検査の結果に異常はありませんでしたが、結果を待つ間は、特に妻が気にしてくれていましたね。子どもを含め、そんな大切な人たちのために、自分にもしものことがあってはいけないという思いはここ数年さらに増し、食事をはじめ健康には特に気をつかうようになりました。たとえば、ごはんをおかわりしなくて済むように、野菜をその分多くとる、など。おかげで、疲れが出にくくなるといった効果も見えてきていますよ。

今年一年、帽子にブルークローバーのシンボルマークをつけて戦うことに決めたのは、前立腺がんの早期発見・適切治療、そしてPSA検査の存在を、多くの人にアピールしたいから。ゴルフ場に足を運んでくださるギャラリーにも、40歳〜50歳代の男性は多いですしね。「そのマーク、何ですか?」と気づいてくれるプロゴルファー仲間もたくさんいます。ちょうど、アメリカのプロゴルファー、フィル・ミケルソン選手が、乳がん撲滅のため「ピンクリボン」マークを帽子につけたことが話題になっていますが、それと同じように、ブルークローバーも浸透していけばいいですね。そのためには今以上に活躍して、このマークの露出度を高めないと。それによってゴルフ好きの男性だけでなく、その奥さんにも「あのマークは何?」と気づいてもらい、話題にしてもらえる……。そんな形が理想です。ブルークローバーのマークをアピールしながら、今後も定期的に、PSA検査を受診したいと思います。(談)

お父さん世代の健康を、家族ぐるみで
PSA検査による早期発見で、根治の可能性も高く
群馬大学泌尿器科 准教授 伊藤 一人先生
【いとう・かずと】
1990年群馬大学医学部医学科卒業後、同大学医学部附属病院助手、オランダ・エラスムスメディカルセンター泌尿器科研究員、同大学大学院泌尿器病態学講師、泌尿器病態学助教授などを経て同大学大学院医学系研究科泌尿器科学准教授。

前立腺がんは高齢の人ほど多いがんですが、50歳代の男性からが危険です。実際に55〜59歳の約0.3%(約300人に1人)に、前立腺がんが隠れていることがわかっています。40歳代の男性には、すぐに治療を要する前立腺がんが潜んでいる可能性は低いのですが、PSA検査を開始し、その後も適切な間隔で検査を継続すれば、将来、前立腺がんの転移やがん死の危険をより低くすることができる可能性があるため、検診を開始した方がより良いといわれています。

前立腺がんは、治療が必要な段階にまで大きくなっても、ほとんどの方には症状がないため、気づかないまま転移(主に骨へ)をきたすことがあります。ただ、PSA検査によって早い段階で発見できれば、適切な治療により根治できる可能性が高くなります。しかも早期がんの治療法は多彩で、手術療法、放射線外照射療法、組織内照射療法などがあり、いずれも効果の高いことが証明されています。

ご自身の健康管理は、家族全体の健康で快適な生活にもかかわることです。まずは、ぜひともPSA検査のこと、またそのメリットとデメリット、前立腺がんのことをよく知っていただきたいと思います。そのうえで、PSA検査を受診する人が増えることを、専門医として願っています。

PSA検査とは
早期発見につながる血液検査 50歳を過ぎたら定期的に

PSA検査は前立腺がんを発見するための血液検査です。PSAとは前立腺に特異的なたんぱく質の一種で、健康な人の血液中にもありますが、前立腺の病気になると血液中に流れ出してPSAが増加します。そのため、少量の血液があれば測定でき、早期発見や治療効果判定の指標として用いられています。前立腺がんにかかりやすい50歳以上の男性は定期的にPSA検査を受診することが望ましく、家族歴がある人は40歳以上に推奨されています。PSA検査は内科や泌尿器科で受けられます。