前立腺癌小線源療法とそのテクニック
滋賀医科大学での小線源療法の実例
PSA:5.0ng/mL、グリソンスコア : 3+4 (右葉と左葉から各1本陽性)
前立腺体積 : 25cc、既往歴:なし
線源強度 : 11.0MBq 線源個数:95個
線源マイグレーション : 術中、術後ともなし
リスク分類 | 小線源療法の方法 |
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低リスク | 小線源単独療法 D90=190-200Gy BED>200Gy |
中間リスク | 中間リスク因子一つなら小線源単独療法 中間リスク因子二つ以上なら外部照射併用療法 単独:D90=190-200Gy BED>200Gy 併用:D90=135-145Gy BED>220Gy |
高リスク | 外部照射併用療法 併用:D90=135-145Gy BED>220Gy |
前立腺体積 | 線源強度 |
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20cc以下 | 11.0MBq |
20cc~30cc | 11.0MBq~13.1MBq |
30cc以上 | 13.1MBq~15.3MBq |
強度の違う線源を前立腺体積によって使い分けること。初心者は弱めの線源をしっかり入れるようにする。
特に外部照射併用療法で20cc以下の前立腺なら11.0MBqを使用する。
線源強度の強いシード15.3MBqは慣れないうちは使用しない。
小線源療法は、熟練を要する治療であるが、ここで解説した10のステップを丁寧に行えば、局所再発ゼロを目指した小線源療法が実現可能となる。
小線源療法を始めて間もないチームは、放射線治療医と泌尿器科医で一つ一つのステップを丁寧に確認しながら経験を積み上げていただきたい。
最初はV100=97-98%を目標にし、小線源単独療法でD90>180Gy、外部照射併用療法でD90>120Gyを目指すとよい。
特に単独でD90>190Gyは難易度が高いので修練してから取り組むことを推奨する。
また中間リスク症例の多くはBED>200Gyで完治するはずであり、慣れないうちは小線源単独療法よりはD90>115~120Gy前後で外部照射45Gyを追加するほうが、比較的安全に再発の少ない治療ができると思われる。
この解説を繰り返し読んだうえで治療に臨み、さらに治療1か月後に得られるポストプランの結果を術中プランと比較し、放射線治療医と泌尿器科医で検討を繰り返すことが技術向上のカギである。
協力して努力を継続すれば必ず治療のレベルアップがはかれるはずである。