【心臓の検査】心筋シンチグラフィをお受けになる患者さんへ
- 監 修
- 榊󠄀原記念病院 副院長 井口 信雄 先生
- 指導・協力
- 榊󠄀原記念病院 放射線科 技師長 島田 征彦 先生
榊󠄀原記念病院 放射線科 科長 鈴木 康裕 先生
- 撮影協力・画像提供
- 公益財団法人 榊󠄀原記念財団 附属 榊󠄀原記念病院
心臓は全身の臓器に血液を送るポンプの働きをしています。
この心臓が正常に動くためには、心臓を動かす筋肉(心筋)自身にも栄養や酸素を送ってあげる必要があり、その役割を担っているのが心臓を取り巻く血管、すなわち冠動脈です。
右冠動脈は1本、左冠動脈は1本からすぐに2本に枝分かれしており、全体として3本からなっています。
この冠動脈が動脈硬化で狭くなったり詰まりかかったりすると、心臓自身に必要な血液が送られなくなり、運動した時などに胸が痛くなったり、苦しくなったりすることがあります。
これが狭心症です。さらに冠動脈が突然詰まってしまい、心臓自身に血液が送られなくなり、心筋が死んでしまうことがあります。これが心筋梗塞です。
このため狭心症や心筋梗塞の診断には、冠動脈から心筋への血液の供給が障害されていないかどうかを知る必要があり、そのための検査が心筋シンチグラフィです。
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心筋への血液の供給が充分かどうかを判断するためには、心臓に負担(=負荷)をかけることが必要です。負荷をかけた状態と、安静の状態(安静時)とで、これらの画像を比べて診断を行います。原則として、負荷をかけた時に「放射性医薬品」を投与しますが、使用する薬剤によっては負荷時と安静時にそれぞれ投与する場合があります。
負荷の方法には、運動によるものと薬物によるものがあります。どちらの方法が適しているのかは、患者さんの様々な条件を考慮して決定されます。また、患者さんの状態によっては、検査当日に負荷の方法が変更になる場合があります。
負荷時、安静時とも心筋が正常な部分には「放射性医薬品」が均一に取り込 まれて明るく表示されます。
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狭心症の場合、負荷時では「放射性医薬品」が心筋に充分に取り込まれないため、画像の一部がかけて表示されます(←)。
数時間後の安静時には、「放射性医薬品」が心筋に取り込まれ明るく表示されます。
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心筋梗塞を起こしている部分(←)はすでに心筋が死んでしまっている為、負荷時、安静時ともに「放射性医薬品」は取り込まれません。