ブルークローバー・キャンペーン2013 パパの明日を、守りたい。「前立腺がん」の「早期発見・適切治療の大切さ」を伝えます。
ブルークローバー通信 vol.16-1 2013.11.12 ブルークローバー・キャンペーン運営委員会

前立腺がんで苦しむ人を これ以上 増やさないためにブルークローバー・キャンペーン「前立腺がん啓発週間」 活動リポート①

「がん・統計白書2012」によると、2010年の前立腺がんによる死亡者数は1万1,600人。2025年には1万5千人を超えると予想されています。多くの自治体が、前立腺がんの早期発見に有効なPSA検査を取り入れているものの、日本人男性の受診率は依然低い数字にとどまるのが現状です。

ブルークローバー・キャンペーンは9月17日〜24日を、日本における「前立腺がん啓発週間」と設定。複数の医療機関と協力し、無料PSA検査の提供のほか、前立腺がんの基本的知識を広く発信しました。昨年に続いてのキャンペーンは、その協力医療機関を大幅に増やし、広く全国で展開されました。

9/8(日)金沢大学 がんプロ市民公開講座「生島ヒロシと語ろう! パパの明日を守りたい!」
軽妙なトークに加え、熱のこもった講演内容

金沢市の中心部・香林坊で実施された市民公開講座。開場前から参加者が列をなし、会場前を通りかかる人へはキャンペーンの小冊子が配布されるなど、開演前から会場周辺は早くも盛況をみせます。

「前立腺がんの認知度はまだ高いとは言えませんが、PSA検診で容易に発見できるがんです。この機会に知っていただき、検診率の向上につなげたいと考えました」とイベント開催の背景を語るのは、北陸がんプロ統括コーディネーターの並木幹夫先生。約180人の参加者でほぼ満席となった会場の様子は、地元の「金沢ケーブルテレビ」で生放送されました。フリーアナウンサーの生島ヒロシさんによる特別講演「いつまでも若く生きる秘訣」をはじめ、前立腺がんの早期発見・適切治療の大切さを説いた北川育秀先生の講演、さらには「パパの明日を守りたい!」のテーマに基づき、並木先生をコーディネーターに、生島さん、北川先生、羽柴厚先生を交えたトークコーナーの展開と、充実した内容の1時間半。生島さんの軽妙な語り口には会場が笑いの渦に包まれる一方、診断や治療に話が及んだ講演では、前立腺がんの知識を得ようと熱心にメモをとる参加者の姿も。「前立腺がんは早期発見が大事だとよくわかりました」「体に配慮しているから、生島さんはいつまでも若くいられるんですね」。寄せられた感想にもあるように、参加者それぞれにとっても、実りのある一日となったようです。

9/8(日)日本医科大学 PSAスクリーニングキャンペーン
前立腺がんの正確な知識を今年も発信

昨年に続いての開催となった日本医科大学。午後0時の受け付けには、都内はもちろん近隣県からも参加者が続々と来場。市民公開講座には57人、無料PSA検査は79人が受診しました。特に無料PSA検査は当日受け付けも可能であったため、予約なしの受診者も20人と、全受診者の約1/4を占めていたことも特徴でした。

近藤幸尋先生を座長に行われた市民公開講座では、前立腺がんの診断(鈴木康友先生)にはじまり、3つの治療方法「手術療法」(Mア務先生)、「放射線療法」(木村剛先生)、「ホルモン療法」(齋藤友香先生)の話題が展開されました。

市民公開講座終了後は、4つの質問ブースに講師の先生が分かれ、参加者の疑問や相談に回答する時間が設定されました。知り合いなどから、間違った前立腺がんの知識を得ている人も目につくため、参加されたみなさんには、正しい知識を持ち帰ってほしいという思いが形となったような講演と、その後のきめ細かな対応に、参加者も知識を得ようと真剣な表情で聞き入っていました。「PSA検査」という言葉自体は徐々に浸透していますが、その認識に関しては個々人によって差があるのが現状です。2回目の開催となった同大学のイベントを通して、正確な知識の輪は、回を重ねるごとに広がっていくと思われます。

9/16(月・祝)札幌医科大学 市民公開講座「前立腺がん」の「早期発見・適切治療の大切さ」を伝えます
多岐にわたる話題 設問で知識を定着

大雨に見舞われた当日。にもかかわらず、札幌市内からの参加はもちろん、札幌市外の恵庭市や苫小牧市、日高町など、公共交通機関で片道2〜3時間のエリアからの参加もあり、前立腺がんに対する関心の高さがうかがえます。

舛森直哉先生の司会で進行された市民公開講座には約150人が参加。セッション1「前立腺がんにならない生活」(岩澤晶彦先生)、セッション2「前立腺がんから命を守るための第一歩〜早期発見のすすめ〜」(市原浩司先生)と続き、セッション3の「前立腺がんの治療」では3つの治療法を解説。①手術については北村寛先生②放射線治療については堀正和先生③ホルモン療法については竹田孝一先生が講演。セッション4では佐藤嘉一先生が「再燃前立腺がんに対する治療」についての話題を展開。前立腺がんの疫学・診断から治療まで、盛りだくさんの話題が繰り広げられました。

また、参加者全員に、講演前と講演後に同じ質問に回答してもらい、今回の講演を聞いてPSA検診に対する意識が変わったか? 理解が深まったか?を確認する試みも。「早期発見の大切さがよくわかり、大変参考になった」「PSA検診を受ける気になった」など、前向きな感想も多く寄せられました。

9/16(月・祝)東京厚生年金病院 PSAスクリーニングキャンペーン
優れたスクリーニング方法=PSA検査普及のため

開催当日は大型の台風が直撃しましたが、開始時には用意された椅子はほぼ埋まり、赤倉功一郎先生、千葉量人先生による講演がスタート。併せて無料PSA検査も実施されました。

講演では、千葉先生が「前立腺がんは、PSA検査による早期発見・治療が大切といわれますが、その理由とは?」という切り口で話題を展開。長生きに関しての意識調査結果を引き合いに出しながら「進行がゆっくりなのが前立腺がんの特徴。早期に見つけて治療すれば、老後の生活の質も向上します」と強調。参加者は一様にうなずきながら聞き入ります。

赤倉先生は前立腺がんの診断から治療法までを紹介。比較的体に負担の少ない新たな治療法も普及していることや、悪性度の低いおとなしいがんであれば、経過を観察する「PSA監視療法」も選択肢の一つであることを訴え「がんと診断されても自分に合う治療選択肢がきっと見つかります。あわてずじっくり考えましょう」とメッセージを送りました。

赤倉先生は「自治体の保健所などでも講演しますが、今日はそこではあまり見られなかった比較的若い世代の参加も多かった」と、幅広い層にリーチできる新聞媒体を利用した告知方法を評価。「前立腺がんには、他のがんと比べても優れたスクリーニング方法=PSA検査があります。無料PSA検査も回を重ねるごとに『初めてPSA検査を受けた』という人が増えるとうれしい」と今後への期待を寄せてくださいました。

9/21(土)佐久総合病院 前立腺がん啓発週間
長野県下全域へ 今後の広がりを予感

罹患(りかん)者が増加傾向にある前立腺がんの啓発と、その早期発見に役立つPSA検診のさらなる普及を目的に佐久総合病院で開催されたイベント。広い長野県下において、近隣の病院で同時期に同様のイベントが開催されないため、他の医療圏から来場する人も見られるなど、会場には熱心な参加者が集まりました。

市民公開講座では、柏原剛先生による1時間の講演が。「前立腺癌について知って頂きたいこと」をテーマに、この病気について押さえておくべきポイントをはじめ最新の知見が披露されます。講演後に受け付けた参加者からの質問も多岐にわたり、予定していた時間をオーバーするほどでした。市民公開講座に参加した50歳以上の男性の中から、希望者に実施されたPSA無償検診にも多くの反応があり、「また来年も実施してほしい」という声がたくさん寄せられました。前立腺がん理解に対する機運の高まりは、佐久市下はもちろん、今後は県下全域でも期待できそうです。

9/22(日)高知大学 前立腺がん啓発週間
前立腺がん治療の最前線を紹介

高知市文化プラザ「かるぽーと大ホール」が会場となった市民公開講座には約130人が、同時に実施された無料PSA検査には60人が参加しました。

県内における前立腺がん検診普及が今イベントの大きなねらいの一つ。それとともに、近年目覚ましい進歩をみせている前立腺がん治療の実態を伝えたいとの思いから、市民公開講座(司会・執印太郎先生)は、「前立腺がんの診断」(谷村正信先生)に端を発し、主な治療方法へも話題を展開。「ホルモン療法」(渡邊裕修先生)、「ロボット治療」(井上啓史先生)、「放射線療法」(蘆田真吾先生)と、各治療の最前線が紹介されました。

「講演を聞いて、治療の選択肢を絞ることができた」「職場検診のオプションでPSA検査を受けたが、内容が分かっていなかった。今回で理解できたので、検査を継続したい」「老後は心配のない人生を送りたいので、聞けて良かった」など、参加者から寄せられた感想からもわかるように、密度の濃さが際立った今回のイベント。その一方で「『ブルークローバー・キャンペーン』についての認知度が低く、もっと世間に広めていく必要がある」(蘆田先生)と、新たな課題も見えた1日でした。