主な核医学検査_腫瘍・炎症

18F-FDG

使用される放射性医薬品

18F-FDG【商品名:FDGスキャン®

検査の原理

グルコースとよく似た構造の18F-FDGは、グルコースと同様にグルコーストランスポーターにより細胞に取り込まれますが、細胞内でヘキソキナーゼによりリン酸化を受けることで、それ以上代謝されることなく細胞内に留まります。腫瘍細胞では正常細胞に比べ糖代謝が亢進し、取り込みが増大することから陽性像として描写されます。

検査の流れ、注意事項

検査前4時間は絶食で、糖分を含んだ水分等の摂取も控えます。また、筋肉への集積を抑えるためには運動も控えることが大切です。
18F-FDGを静注後、約1時間は待機室で安静にして待機し、検査直前には排尿をしておきます。検査は、ベッドに仰臥位で寝ている患者さんに対して装置もしくはベッドを移動させて全身像を約15~30分で撮像します(この間に18F-FDGの撮像とPET-CTの場合はCT等による撮像が行われます)。場合によっては、その1時間後にも10分程度の撮像をすることがあります。
FDGスキャン®注のPET検査の流れを参照ください。

解析方法、定量法

一般的に悪性度の高い腫瘍ほど糖代謝が亢進することが知られており、18F-FDGの集積程度の半定量的指標としてSUV(standardized uptake value)が用いられます。SUV値は、腫瘍によって異なりますが2.0~3.0程度を境界として良悪性鑑別の参考に利用したり、経過観察・再発診断等にも利用されています。
また、最近のPET装置はCT装置を内装していることから、糖代謝情報としてのPET画像と形態情報としてのCT画像を融合させた融合画像(下図)を作成できるようになり、両検査の情報を合わせることにより診断能が著しく向上しています。

 

PET画像と形態情報としてのCT画像を融合させた融合画像
画像提供元:東邦大学医療センター大森病院

臨床的意義
  • 悪性腫瘍(肺癌、乳癌、大腸癌、頭頸部癌、脳腫瘍、膵癌、悪性リンパ腫、原発不明癌、悪性黒色腫)の診断に有用です。
参考資料・関連ページ

 

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