紹介した症例は臨床症例の一部を紹介したもので、全ての症例が同様な結果を示すわけではありません。
冠血行再建への画像診断の活かし方 SPECT/CT Fusionの応用
症例 | 60歳代、男性 |
主 訴 | 労作時息切れ、胸部絞扼感 |
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冠危険因子 | 高血圧、脂質代謝異常 |
現 病 歴 | 3カ月前より歩行時(400-500m)に胸部絞扼感が出現するため受診。 冠動脈CTを実施し、RCAとLCXの2枝に高度狭窄を認めた。 |
血液検査 | LDL-C 94mg/dL、BNP 39.1pg/mL、 eGFR 87mL/min/1.73m2 |
心 電 図 | 完全右脚ブロック |
心エコー | LVEF 61%、後下壁に壁運動低下 |
形態的狭窄度の指標である QCAでは、虚血の治療適応とするか否かのグレーゾーンが 40~ 80%と広い。
これに対し、FFRは 0.75~ 0.80と狭く、 FFRガイドの治療適応決定による2年間の予後改善効果も報告されている(FAME研究)1)。
このため、FFRが普及してきている。
これに対し、FFRは 0.75~ 0.80と狭く、 FFRガイドの治療適応決定による2年間の予後改善効果も報告されている(FAME研究)1)。
このため、FFRが普及してきている。
1) Pijls NH, Fearon WF, Tonino PA, et al. Fractional flow reserve versus angiography for guiding percutaneous coronary intervention in patients with multivessel coronary artery disease: 2-year follow-up of the FAME(Fractional Flow Reserve Versus Angiography for Multivessel Evaluation) study. J Am Coll Cardiol. 2010; 56(3) : 177-84.
ただし、本症例のようにFFRが 0.75とequivocalな場合がある。このような症例では負荷心筋SPECTが治療適応決定に貢献する。
特に多枝病変例では、全ての枝でFFRを施行することもあるが、予め心筋SPECTで虚血責任血管を同定しておくことで効率的に診療を進めることができる。
冠血行再建術などによって、5%以上の心筋虚血改善*を認めた症例では予後が良好であることが、負荷心筋SPECTを利用したCOURAGE trial nuclear substudyで報告されている2)。
*5%以上の虚血改善:負荷心筋SPECT検査によって算出した虚血領域の改善度
2) Shaw LJ, Berman DS, Maron DJ, et al. Optimal medical therapy with or without percutaneous coronary intervention to reduce ischemic burden: results from the Clinical Outcomes Utilizing Revascularization and Aggressive Drug Evaluation (COURAGE)trial nuclear substudy. Circulation. 2008; 117(10) : 1283-91.
心筋SPECTと冠動脈CTのFusion画像によって、血管走行と虚血の拡がりを対比して見ることができ、標的病変をさらにわかりやすく評価できる。