前立腺がんの治療方法
(1) 監視療法
がんの悪性度、PSA値が低く、直腸診や生検の結果からもがんのひろがりが小さく、すぐに体への悪影響をきたさないと判断された場合に経過観察を行います。前立腺がんは他のがんと比べ進行がゆっくりしているので治療による体への負担を避けるための選択肢の一つです。
(2) 放射線療法
放射線療法は一般的に体への負担が少ない療法です。種類としては大きく分けて二通りあります。1つは体の外から放射線をあてる外照射療法と呼ばれる治療法です。もう1つは体の中に放射線源を入れ、中から放射線をあてる小線源療法です。
- a.外照射療法
- 体の外から病巣にX線などの放射線を照射してがん細胞を死滅させる方法です。前立腺がんの場合、週5日の通院治療を2ヵ月間程度続ける必要があります。3D-CRTやIMRTと呼ばれる方法です。
- b.小線源療法
- 放射線を出す線源を前立腺内に挿入して内部から放射線を照射する治療法です。組織内照射やブラキーセラピーとも言います。
小線源療法には2つの種類があります。
ヨウ素125シード線源の永久挿入による低線量率小線源療法(以下:密封小線源療法)と、イリジウム192の一時刺入による高線量率小線源療法です。前立腺がんの進行状態により小線源療法単独で行う場合と外照射療法を併用する場合があります。
(3) 手術療法
手術によって前立腺と精のうを摘出し、膀胱と尿道とを吻合する方法で根治的前立腺摘除術と呼ばれます。手術には、開腹する方法、腹腔鏡を用いる方法、最近ではロボット手術と呼ばれる方法があり、それぞれ特徴があります。
患者さんの体への負担は少なからずあり、手術時間は3~4時間、開腹の場合には2~3週間程度の入院が必要になります。
- 前立腺がん治療における手術の進歩と役割について(栃木県立がんセンター 川島先生)
前立腺がんセミナー 患者・家族の集い 2017 東京 - 前立腺がんに対する手術療法
ロボット支援全摘術をはじめ、開腹手術、腹腔鏡手術、ミニマム創手術、会陰式手術の各手術療法についての解説をご覧になれます。(栃木県立がんセンター 川島先生)
Cancer Channel
(4) ホルモン療法
ホルモン療法は、前立腺がんを増殖させる働きがある男性ホルモンの分泌を抑制し、前立腺の細胞に男性ホルモンの影響が及ばないようにして、がんを縮小させ進展を防ぐ治療法です。
ほとんどの前立腺がんで有効ですが、時間の経過とともに効果が弱くなり根治することはできないと考えられています。しかし、場合によっては10年以上有効なケースもあります。