核医学の基礎知識

よくあるご質問Q&A

Q:放射性医薬品とは

FDG化学構造式

Answer  放射性医薬品とは、ラジオアイソトープ(RI:放射性同位元素)を含んだ医薬品で、日本薬局方または放射性医薬品基準によって規定されているものをいいます。
放射性医薬品に含まれるラジオアイソトープが放出する放射線(主にガンマ線)を利用して、病気の診断や治療を行います。
 
  例えば、PET検査では、ブドウ糖にごく微量の放射線を放出するフッ素-18(18F)というラジオアイソトープを含んだ放射性医薬品(FDG)を体内に注射し、PETカメラという装置を用いて、全身分布を撮影します。

 

Q:ガンマ線とは
Answer  ガンマ線は、ラジオアイソトープ(RI:放射性同位元素)の原子核内からから発生する放射線のうち、波長の短い電磁波です。
 
  ガンマ線の生物学的効果はエックス線と類似しているといわれています。
核医学検査では、体内の情報を体外にもたらしてくれるよう、透過力の強いガンマ線を放出するアイソトープが多く利用されています。

ガンマ線イメージ図

Q:ガンマカメラとは
Answer  体内に投与された放射性医薬品から放出されたガンマ線はコリメータと呼ばれる多数の穴が開いた鉛(又はタングステン)板を通り、シンチレータにあたり、発光(シンチレーション光)します。シンチレータの後には数十本からなる光電子増倍管が並んでおり、シンチレーション光(光信号)はここで増強されます。
  この構造を持つ検出器で構成された検査機器がガンマカメラです。ガンマ線を複数の検出器で計測することにより、全身範囲での検査が可能です 。

 

コリメーター図

Q:シンチグラフィとは
Answer  患者さんに放射性医薬品を投与し、体外から放射性医薬品の分布を検出して画像化する検査方法をシンチグラフィ(シンチ)といいます。シンチグラフィで得られる画像をシンチグラムといいます。
 
  シンチグラフィは検査目的により、臓器の位置・形態・大きさ、病巣の有無・局在・性状などの情報が得られる静態シンチグラフィ、経時的な撮像で血流や臓器の機能などの情報が得られる動態シンチグラフィ、全身の病巣を検索する全身シンチグラフィ、断層撮影により3次元的情報が得られるSPECTなどに大別されます。

Q:断層像とは

PET/CT検査、核医学検査イメージ図

Answer  体の周囲を360°全方向にわたって撮影し、再構成という画像処理によって作成された像のことを言います。
 
  X線CTの場合はX線を照射し、透過量の違いにより作成されますが、核医学検査の場合は投与された放射性医薬品から放出される放射線量の違いにより作成されます。

 

Q:SPECT(スペクト)とは

ガンマカメライメージイラスト

Answer「Single Photon Emission Computed Tomography」の各頭文字を取って「SPECT」(スペクト)といいます。日本語では「単一光子放射断層撮影」となりますが、一般的に「スペクト」と呼ばれています。
 
  画像診断法の一種で、体内に投与した放射性医薬品から放出されるガンマ(γ)線をガンマカメラで検出し、その分布を断層画像にしたものです。脳血管障害、心臓病、癌の早期発見に有効とされています。
 
  *ガンマカメラは、2台の検出器を対向に配置したものが一般的です。

 

Q:PET(ペット)とは

PETカメライメージイラスト

Answer「Positron Emission Tomography」の各頭文字を取って「PET」(ペット)といいます。日本語では「陽電子放出断層撮影」となりますが、一般的に「ペット」と呼ばれています。
 
  画像診断法の一種で、体内に陽電子(ポジトロン)を放出する放射性医薬品(FDG)を注射し、その際に放出される放射線をPETカメラで検出し、その全身分布を断層画像にしたものです。
従来のCTやMRIなどの体の構造をみる検査とは異なり、細胞の活動状況を画像でみることができ、がん、脳、心臓などの病気の診断に有効です。
 
  PET検査は感度、定量性の点でSPECT検査より優れていることから近年、使用頻度が高まっています。ただし、PET検査に用いられる放射性核種(フッ素-18(18F) 、酸素-15(15O)等)がSPECT検査に用いられる放射性核種と性質が異なるため、一般的なガンマカメラは使用できず、PET専用の装置が必要です。
 
  *PETカメラは、360°の検出器がリング状に配置され、身体から放出される放射線を様々な角度から検出可能です。

 

Q:ラジオアイソトープ(放射性同位元素)、RI(アールアイ)とは
Answer  アイソトープ(同位体)の中で、構造が不安定なため、原子核の中から時間とともにガンマ線などの放射線を出しながら崩壊していく核種のことをラジオアイソトープ(放射性同位元素)といいます。放射性核種、RI(アールアイ)とも呼ばれます。
  ラジオアイソトープによってその崩壊の速度は異なり、元の半分になるまでの時間を半減期といいます。核医学で用いるラジオアイソトープの半減期は短く、数十秒から数時間ものが用いられています。
従来のCTやMRIなどの体の構造をみる検査とは異なり、細胞の活動状況を画像でみることができ、がん、脳、心臓などの病気の診断に有効です。
  特にPET検査で用いられる放射性医薬品FDG は半減期が110分と短く、検査を行う際、様々な制限があります。

アイソトープのイラスト