1.ガイドラインとエビデンスの考え方
監修・症例提供
笠井 督雄 先生
新潟大学 魚沼基幹病院 循環器内科
心臓核医学検査ガイドライン(2010年改訂)
心臓核医学検査には多くのエビデンスが蓄積されている。
欧米のエビデンスを基に2005年に作成された日本循環器学会の心臓核医学検査ガイドラインは、わが国でのエビデンスも加味されて2010年に改定された。
各クラスのエビデンスレベルの一覧を示す。
表1 心筋血流イメージングのクラスとエビデンスの一覧
虚血性心疾患における心筋血流イメージング | (Class I | Level B) |
---|---|---|
虚血の存在診断 | (Class I | Level B) |
心筋梗塞の部位診断 | (Class I | Level B) |
胸痛症例における診断 | (Class IIa | Level C) |
心筋バイアビリティの診断 | (Class I | Level B) |
心筋血流シンチグラフィによる予後評価・リスク層別化 | (Class I | Level B) |
血行再建術後の治療効果判定 | (Class I | Level B) |
無症状でハイリスク群のスクリーニング検査 | (Class IIb | Level C) |
ルーチンに施行されるスクリーニング検査 | (Class III | Level C) |
表2 心電図同期SPECTのクラス、エビデンスの一覧表
虚血心における心電図同期SPECT(負荷心筋血流イメージングとの併用) | ||
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虚血心における安静時左室機能評価 | (Class I | Level B) |
心筋梗塞例における心筋虚血評価 | (Class I | Level B) |
リスク層別化と予後評価 | (Class I | Level B) |
心筋バイアビリティ評価 | (Class IIb | Level C) |
表3 I-123-MIBG心筋イメージングの適応のクラス、エビデンスレベルの一覧
冠動脈疾患のクラス、エビデンスレベルの一覧 | ||
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梗塞や不安定狭心症での除神経領域の同定 | (Class IIb | Level C) |
冠攣縮性狭心症での虚血の同定 | (Class IIb | Level C) |
糖尿病での自律神経障害 | (Class IIb | Level C) |
心不全の重症度評価・予後評価 | (Class I | Level B) |
心不全の治療効果の評価 | (Class IIa | Level C) |
心不全の治療効果の予測 | (Class IIb | Level C) |
不整脈疾患 | (Class IIb | Level C) |
表4 冠動脈疾患のクラス、エビデンスレベル一覧
急性冠症候群の診断 | ||
---|---|---|
急性心筋梗塞 | (Class IIb | Level C) |
不安定狭心症 | (Class I | Level B) |
慢性冠動脈疾患の診断 | (Class IIa | Level C) |
冠攣縮性狭心症の診断 | (Class IIa | Level C) |
重症度評価・予後評価 | (Class IIb | Level C) |
表5 心筋症・不全心のクラス、エビデンスレベルの一覧
心筋症の鑑別診断 | (Class IIb | Level B) |
---|---|---|
心筋症の重症度評価・予後評価 | (Class IIb | Level C) |
透析心の心筋虚血評価 | (Class IIb | Level C) |
表6 Ga-67シンチグラフィのクラス、エビデンスレベルの一覧
心サルコイドーシスの診断および臨床評価 | ||
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(血流シンチグラフィと併用) | (Class IIa | Level C) |
心筋の炎症性疾患の診断 | (Class IIb | Level C) |
悪性リンパ腫の心病変の診断 | (Class IIb | Level C) |
表7 PETのクラス、エビデンスレベルの一覧
F-18-FDG-PET検査の主たる適応 | ||
---|---|---|
心筋バイアビリティ評価 | (Class I | Level B) |
リスク層別化 | (Class I | Level B) |
心筋血流PET検査の主たる適応 | ||
虚血性心疾患の診断 | (Class I | Level B) |
定量的冠血流予備能の評価 | (Class IIb | Level C) |
表8 小児における核医学検査のクラス、エビデンスレベルの一覧
心筋血流イメージングによる小児の心筋虚血評価 | (Class IIa | Level B) |
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心筋血流イメージングによる右室圧負荷の推定 | (Class I | Level C) |
心プールシンチグラフィによる心機能評価 | (Class IIb | Level B) |
初回循環時法による心内短絡の定量 | (Class IIb | Level C) |
PETによる心筋血流予備能の評価 | (Class IIb | Level C) |
表9 運動負荷心筋血流イメージングのクラスとエビデンスレベル一覧
虚血性心疾患を疑う場合の診断 | (Class I | Level B) |
---|---|---|
心電図評価困難である場合(ただし、左脚ブロック、心室ペーシングを除く) | ||
負荷心電図異常がある場合の心筋虚血診断 | ||
冠動脈疾患発症の中等度リスクと考えられる場合 | ||
虚血性心疾患における病態やリスク層別化 | (Class I | Level B) |
冠動脈造影にて冠狭窄(25 ~75%)を有する場合の心筋虚血の評価 | ||
病態に変化があった場合の心事故リスクの再評価 | ||
治療効果評価 | ||
血行再建術の評価 | (Class I | Level B) |
薬物治療効果の評価 | (Class IIa | Level C) |
表10 薬物負荷心筋血流イメージングのクラスとエビデンスレベル一覧
虚血性心疾患を疑う場合の診断 | (Class I | Level B) |
---|---|---|
運動負荷が適切に施行できない場合 | ||
左脚ブロック、心室ペーシング症例 | ||
負荷心電図異常がある場合の心筋虚血診断 | ||
冠動脈疾患発症の高リスクと考えられる場合 | ||
虚血性心疾患における病態やリスク層別化 | (Class I | Level B) |
冠動脈造影にて冠狭窄(25 ~75%)を有する場合の心筋虚血の評価 | ||
病態に変化があった場合の心事故リスクの再評価 | ||
治療効果評価 | ||
血行再建術の評価 | (Class I | Level B) |
薬物治療効果の評価 | (Class IIa | Level C) |
表11 心疾患以外の手術に際して術前に行う負荷心筋血流イメージング
高度の手術侵襲を伴う高リスク手術(高度の心血管疾患臨床リスクを伴う場合) | (Class I | Level C) |
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高度の手術侵襲を伴う高リスク手術(中等度の心血管疾患臨床リスクを伴う場合) | (Class IIb | Level B) |
中等度の手術侵襲を伴う中リスク手術(高度の心血管疾患臨床リスクを伴う場合) | (Class IIa | Level C) |
中等度の手術侵襲を伴う中リスク手術(中等度以下の心血管疾患臨床リスクを伴う場合) | (Class IIb | Level C) |
手術侵襲の低い低リスク手術 | (Class III | Level C) |
(表1-表11 日本循環器学会 心臓核医学検査ガイドライン 2010年改訂版より)
※日本循環器学会のページから削除され、日本核医学会のページに移っています。
https://jsnm.org/wp_jsnm/wp-content/themes/theme_jsnm/doc/shinzoukakuigakukensa_gl.pdf
(2015年2月閲覧)