前立腺がん治療法あれこれ ―密封小線源治療法とは?― Q&A PART1
前立腺がんの治療には、早期であれば「手術療法」「放射線療法」「ホルモン療法」「待機療法」などさまざまな治療方法があります。
- 「手術」では、前立腺精のうおよび周囲のリンパ節を摘出します。患者さんの体への負担は少なからずあり、手術時間は3~4時間、入院は開腹の場合には2~3週間程度が必要になります。
- 「ホルモン療法」は前立腺がんを増殖させる男性ホルモンの分泌や作用を抑制し、前立腺の細胞に男性ホルモンの影響が及ばないようにしてがんを縮小させ進展を防ぐ治療です。
- 「無治療経過観察(むちりょうけいかかんさつ)」や「待機療法」は、PSA値が低く、生検(せいけん)の結果からがんの病巣(びょうそう)が小さく悪性度も低く、直腸診(ちょくちょうしん)や画像の検査からがんの広がりがない人で、すぐに体への悪影響をきたさないと判断された場合に行われるものです。治療は行わずに、PSAの値などを定期的に見ていきます。
「放射線療法」は一般的に体への負担が少ない治療方法です。種類としては大きく分けて二通りあります。1つは体の外から放射線をあてる外照射療法(がいしょうしゃりょうほう)。もう1つは体のなかに放射線源を入れ、なかから放射線をあてる組織内照射療法(そしきないしょうしゃりょうほう)です。 - 「外照射療法(がいしょうしゃりょうほう)」とは、体の外から病巣(びょうそう)にX線などの放射線を照射してがん細胞を死滅させる方法です。前立腺がんの場合、週5日の通院治療を2ヶ月間程度続ける必要があります。
- 「組織内照射療法(そしきないしょうしゃりょうほう)」と呼ばれる小線源療法(しょうせんげんりょうほう)には、組織内照射(そしきないしょうしゃ)および腔内照射(くうないしょうしゃ)があり、さらに低線量率(ていせんりょうりつ)と高線量率(こうせんりょうりつ)の2種類に分けられます。そして、がんの部位や種類などにより治療に適切な照射方法を選択します。ここでは“低線量率(ていせんりょうりつ)”の“組織内照射(そしきないしょうしゃ)”である、「ヨウ素125シード線源(せんげん)の永久挿入による前立腺がん小線源治療(しょうせんげんちりょう)」を紹介します。
治療には2時間程度、入院期間は4日程度で済み、体への負担が小さく、手術と同様、がんを完治させる可能性のある治療法です。
放射線を前立腺内に集中して照射する治療法であるため大きな効果が期待できます。また、周りの膀胱(ぼうこう)や直腸(ちょくちょう)への影響や副作用も少なく、身体への負担も手術に比べて軽く、入院期間も短くて済みます。治療後の性機能は、7割ほどの方が維持出来ると言われています。