- ● 紹介した症例は臨床症例の一部を紹介したもので、全ての症例が同様な結果を示すわけではありません。
「警告・禁忌を含む使用上の注意」等については添付文書を参照ください。 - ● DaTViewおよび3D-SSPによる画像解析は、「核医学画像解析ソフトウェア medi+FALCON」†を使用することで実施可能です。(† 承認番号: 301ADBZX00045000)
- ● DaTSCANによるSPECT画像の定量的指標であるSBR(Specific Binding Ratio)は使用機種、コリメータ、画像再構成法等によって異なりますので、その解釈には十分ご注意ください。
GBA遺伝子変異ヘテロキャリア・パーキンソン病
国立病院機構宇多野病院
脳神経内科 大江田 知子先生
上原 尚子先生*
放射線科 上田 道夫先生**
現所属 * 関西電力病院 脳神経内科
** 国立大阪医療センター 医療技術部 放射線科
MMSE 24/30点、FAB 11/18点と認知機能の低下を認め、ひとりでの服薬管理は困難な様子がみられた。
レボドパの投薬タイミングを調整し、オン時UPDRSパート Ⅲ21点、ホーン・ヤール 2度、オフ時UPDRSパートⅢ30点、ホーン・ヤール 3度に改善した。
軽度の幻視は続いており、同意を得てglucocerebrosidase(GBA)遺伝子を調べたところ、ヘテロ変異キャリアと判明した。
Early H/M比 1.46(閾値 1.92)3)
Delayed H/M比 1.17(閾値 1.68)3)
Washout Rate 47.7%
早期および後期ともに心筋への高度の取り込み低下がみられた。
両側頭頂葉、後頭葉、前頭葉、左優位広範囲に血流低下がみられた。
SBRは使用機種、コリメータ、画像再構成法等によって変動します。
線条体の集積は両側ともに著明に低下していた。
■まとめ
本症例は発症年齢が46歳と早く、また、経過7年で出現した幻視が継続したこと、比較的早期に認知機能障害がみられたことが特徴である。
そのため、ドパミンアゴニストの使用が制限され、結果的にレボドパの頻回投薬が必要となった。GBAヘテロ変異は、現在判明している最大のPDリスク遺伝子であり、日本人PD患者の約9%に見いだされる4)5)。
GBA変異キャリアの経過は一様でなく、通常のPD患者の中から明確に区別することは難しいが、やや発症年齢が早いこと、しばしばPD家族歴がみられることの他に、認知症や精神症状が早く進行する傾向があり、レビー小体型認知症様の経過をたどることもある。本症例にみられたDaTSCANによる線条体集積の低下は著しく、これもGBA変異キャリアの特徴かもしれない。