- ● 紹介した症例は臨床症例の一部を紹介したもので、全ての症例が同様な結果を示すわけではありません。
「警告・禁忌を含む使用上の注意」等については添付文書を参照ください。 - ● DaTViewによる画像解析は、「核医学画像解析ソフトウェア medi+FALCON」†を使用することで実施可能です。(† 承認番号: 301ADBZX00045000)
- ● DaTSCANによるSPECT画像の定量的指標であるSBR(Specific Binding Ratio)は使用機種、コリメータ、画像再構成法等によって異なりますので、その解釈には十分ご注意ください。
特発性正常圧水頭症(iNPH)とレビー小体型認知症(DLB)の合併
その後、認知機能障害と歩行障害は徐々に悪化し、失禁もあった。
レビー小体型認知症(DLB)の合併が疑われたため、DaTSCANを施行した。
X+1年現在、認知機能障害の進行は目立たず、歩行障害、幻視、情動不安は改善している。
判定 : 陽性(認知機能障害・歩行改善)
タップテスト前 | タップテスト後 | |
MMSE | 19 | 24※ |
UP & GO | 26歩/33秒 | 30歩/22秒※ |
髄液流出抵抗 7.9(軽度上昇)
※:MMSE 3点以上、UP & GO 10%以上の改善をタップテスト陽性と判定
DESH型脳室拡大(Evans Index36%)と円蓋部脳溝の狭小化を認めた。
SBRは使用機種、コリメータ、画像再構成法等によって変動します。
両側ともに線条体の顕著な集積低下を認めた。
■まとめ
iNPHは、歩行障害、認知機能障害、失禁を主症状とし、頭部MRIとタップテストの結果から診断される。脳室腹腔シャント術により症状の改善をみることから、Treatable dementiaの代表とされる。一方、DLBは進行性に経過し、予後不良の変性性認知症である。認知機能障害、パーキンソニズムに自律神経症状を伴うため、iNPHの症状と重複するところが多い。このため、両疾患の鑑別が必要であるが、本症例のように両者が合併することも少なくなく、この場合、シャント術の適否が問題となる。歩行障害がiNPHによるか、DLBのパーキンソニズムによるかを鑑別するのにDaTSCANが用いられ、iNPHではDaTSCANで線条体の集積低下を認めないが、DLBないし本症例のようにDLBが合併すると集積が低下することから、両者の鑑別が可能となる。