2.心臓MRI検査(Cardiovascular MRI : CMR)
監修
平野 雅春 先生 / 山科 章 先生
東京医科大学 第二内科
心臓MRI(Cardiovascular MRI:CMR)は、虚血性心疾患や心筋疾患の心形態及び心機能評価や心筋viabilityなどの評価に用いられる。
また、冠動脈の形態評価としては、冠動脈MR angiography(MRA)が用いられる。
冠動脈MRAは
- (1) 放射線被ばくを伴わない、
- (2) 冠動脈高度石灰化症例でも動脈内腔の描出が可能、
- (3) 造影剤の投与を行わない非造影検査が可能、
等の優れた特徴を有する。
しかし、現状の機器においては空間分解能と時間分解能の点でMDCTに及ばない。
留置位置への影響やステント自体の発熱などを考慮して、従来留置8週間以内の撮像が控えられていた。
しかし、現状のステントに関しては一部の製品を除き安全性が確認されており、留置直後から検査を実施しても問題がない。
最近の製品に関しては、検査を実施しても問題がない。但し、製品によっては禁忌の場合もある(古い製品)。
原則禁忌であるが、MRI対応のペースメーカーが発売されている(2012年10月~)。
不整脈症例はモーションアーチファクトの影響を受けるため、画質の劣化を伴い評価不可能な場合がある。
また、閉所恐怖症患者への実施は困難である。
なお、妊娠初期の患者、体内磁性体留置患者、アルミニウム等が使用されている貼付剤使用患者、カラーコンタクトレンズ装着患者、入れ墨を施している患者において、不具合事例の報告がある。
評価方法 | 心筋虚血評価 | 形態評価 | |||
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シネMRI | 心筋perfusion MRI | 遅延造影MRI | T2強調画像 | coronary MR angiography(MRA) |
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特徴 |
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有用例 |
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画像例 |
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腎機能障害患者におけるGd造影剤使用後のNSFの発生に関しては、死亡例の報告もある。
そのため、欧州のガイドラインでは、重症腎不全患者(eGFR<30mL/min/1.73m2)や肝移植患者、新生児には投与してはならず、腎機能障害が存在する場合は、Gdキレート安定性の高い造影剤を必要最小限度を慎重に使用するように勧告している。
(N Engl J Med 343 (20): 1445-1453, 2000)
CMRは1回約45分間の検査で、心機能・心筋血流・心筋バイアビリティの評価、さらには冠動脈の描出をも可能にする。
しかし検査の煩雑さゆえ、多くの施設で充分活用されていないのが現状である。
種々の検査モダリティが存在する中で、必要な検査を優先的に行う検査の組み合わせを症例毎に作る重要性を充分理解し、通常検査時間枠の中で行える検査として確立していくことが求められる。