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このページ内のコンテンツは症例提供いただいた川崎医科大学 認知症学 主任教授 和田健二先生による音声と動画の解説がございます。
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混合型認知症 (アルツハイマー型認知症+レビー小体型認知症)
アルツハイマー型認知症における脳血流SPECTでは、後部帯状回や楔前部、頭頂側頭葉などにおける血流低下所見が 報告されている1)。また、レビー小体型認知症における脳血流SPECTでは、上記の領域に加え、後頭葉の血流低下も見られると報告されている1)。
本資料では、両疾患が併存した病態において臨床症状に加え、脳血流SPECT等の画像診断を活用し診断に至ったケースを報告する。
- ● 診断病名 混合型認知症(アルツハイマー型認知症+レビー小体型認知症)
- ● 年齢 70歳台
- ● 性別 女性
大脳深部白質の慢性虚血性変化はごく軽度で、海馬を含めた側頭葉内側の萎縮を認めた。
VSRAD(Voxel-based Specific Regional analysis system for Alzheimerʻs Disease)注)を用いた画像統計解析では、海馬傍回の萎縮を示すZ-scoreは1.94であった。
断層画像では、両側頭頂葉と側頭葉の著明な血流低下と右後頭葉の血流低下を認めた。
脳表血流画像とZ-score画像では、前述の部位とともに後方帯状回や楔前部の血流低下が明瞭に示された。
アルツハイマー型認知症およびレビー小体型認知症を想定したROI設定画像では、頭頂葉、楔前部、後方帯状回に加え、後頭葉外側と内側の血流低下も示されている。
病歴聴取を進めると、実体的意識性や幻視体験のほか、人物誤認やそれによる妄想症状が存在していた。
このことからレビー小体型認知症も混在する病態であると、初診時に想定された。
海馬を含む内側側頭葉にアクセントのある脳萎縮を認め、アルツハイマー型認知症に合致した所見であった。
それとともに典型的なアルツハイマー型認知症では保たれている後頭葉の血流低下1)も検出され、臨床症状とあわせてレビー小体型認知症も併存している病態と診断した。
ご家族へは、症状の変動がある点を強調し、最も悪い時をケア基準に対応すること、誤認や混乱が激しいときはしばらく距離を置くことなどの介護の心がけを説明した。
