紹介した症例は臨床症例の一部を紹介したもので、全ての症例が同様な結果を示すわけではありません。
3D-SSPおよびZ-Graphによる画像解析は核医学画像解析ソフトウェア medi+FALCON*を使用することで実施可能です。(*認証番号:301ADBZX00045000)
本コンテンツで使用している画像提供元:秋田県立リハビリテーション・精神医療センター
行動障害型前頭側頭型認知症
- ● 診断病名 行動障害型前頭側頭型認知症
- ● 年齢 60歳代
- ● 性別 男性
X-2年:もの忘れ、常同的/強迫的な行動(歯磨きやドアの開閉を繰り返す)、脱抑制(他人の家の物を無断で盗る、塵を拾って他人の家の路肩に置く)がみられた。
X年6月:認知症の精査のため当センターもの忘れ外来受診。
MMSE:15/30(見当識 5/10、注意・計算 0/5、遅延再生 0/3、書字 0/1、立方体模写 0/1)、CDR:1、パ-キンソニズムを認めない。喚語障害、滞続言語、反響言語などの被影響性の亢進、遂行機能障害があり、問診から脱抑制、常同的/強迫的な行動、共感および協調性の低下を認め、possible bvFTDと診断。
図2 VSRAD注)
※海馬傍回のZ-score
注)本資材中のVSRAD表記はVSRAD文献発表時の表記を使用しております。
現在は医療機器承認を受け名称表記が変更されています。
FLAIR 画像(図1)で脳実質に異常信号域はみられない。海馬の明らかな萎縮を認めず、前頭葉および側頭葉の萎縮は軽度で左右差は目立たない。T1WI(T1強調画像、冠状断)。
VSRAD(図2)を用いた画像統計解析では右側優位の前頭葉および側頭葉の軽度萎縮が示唆される。
断層画像(図3)で右側優位の前頭葉の血流低下があり、脳表血流分布画像とZ-score画像(図4)では右側優位の前頭葉の血流低下が明瞭に描出される。側頭葉と後部帯状回の血流は保持されている。
前頭側頭型認知症および大脳皮質基底核症候群を想定したROI設定(図5)では前頭葉(右側優位)、右頭頂葉の血流低下を認め、側頭葉および左頭頂葉の血流は保持されている。 アルツハイマ-型およびレビー小体型認知症を想定したROI設定(図6)では右頭頂葉の軽度の血流低下しか検出されず、左頭頂葉、後頭葉、後部帯状回、楔前部の血流は保持されている。
選択したブロードマン分類および脳回分類による領域 3)
全領域 | |||
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前頭葉ROI |
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選択した領域 ブロードマン分類(Level 5)に基づく以下の領域 |
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前頭眼野(BA 8) |
前頭前野背外側部(BA 9) |
前頭極(BA 10) 下前頭回三角部(BA 45) |
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BA:Brodmann area | |||
側頭葉ROI |
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選択した領域 ブロードマン分類(Level 5)に基づく以下の領域 |
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下側頭回(BA 20) |
中側頭回(BA 21) |
側頭極(BA 38) | |
BA:Brodmann area | |||
下前頭回ROI |
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選択した領域 脳回分類(Level 3)に基づく以下の領域 下前頭回 |
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Group 1とGroup 2の領域の一部との重なりがあります | |||
中心前回ROI |
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選択した領域 脳回分類(Level 3)に基づく以下の領域 中心前回 |
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Group 1の領域の一部との重なりがあります | |||
中心後回ROI |
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選択した領域 脳回分類(Level 3)に基づく以下の領域 中心後回 |
中心前回と中心後回のROIは大脳皮質基底核症候群が疑われる症例における同部位の血流評価のために設定