違いのわかるSPECT診断シリーズ 8 ADと非ADの鑑別 編違いのわかるSPECT診断シリーズ 8 ADと非ADの鑑別 編

 

「警告・禁忌を含む使用上の注意」等については添付文書を参照ください。
紹介した症例は臨床症例の一部を紹介したもので、全ての症例が同様な結果を示すわけではありません。
3D-SSPによる画像解析は核医学画像解析ソフトウェアmedi+FALCON*を使用する事で実施可能です。
(*認証番号:301ADBZX00045000)
本コンテンツで使用している画像提供元:熊本大学

違いのわかるSPECT診断シリーズ 8 ADと非ADの鑑別 編

認知症の原因疾患を鑑別する意義が近年非常に高まっている。それは、それぞれの疾患に応じた治療・ケアが可能になってきたためである(下図)。しかし、日常診療において、臨床症状と形態画像のみでは診断に迷うケースが少なくない。本誌では、そのようなケースで、 IMP(パーヒューザミン®注)-SPECT/3D-SSP解析によって診断に必要となる情報が追加された症例を紹介する。

 

 

疾患別の治療とケアが可能に

 

アルツハ
薬物療法
非薬物療法
薬物療法
  • 丸認知機能障害に対するドネジルによる治療
  •  
  • 丸物盗られ妄想などに対する非定型抗精神病薬注1)による治療
非薬物療法
  • 丸物盗られ妄想などに対する非薬物療法
物盗られ妄想に対する非薬物療法
・あらかじめ家族教育をしておく
・攻撃の対象となる最も身近な介護者(多くは嫁)との接触時間を減らすため、デイケア、デイサービスをフルに利用する
薬物療法
  • 丸高血圧や糖尿病などの危険因子の内科的な管理
非薬物療法
  • 丸意欲の低下による廃用症候群の予防
廃用症候群の予防
・デイケア、デイサービスの活用により活動性を高める
薬物療法
  • 丸認知機能障害と精神症状に対するドネペジルによる治療
  •  
  • 丸精神症状に対する抑肝散による治療
非薬物療法
  • 丸認知機能の変動に合わせたケアと転倒予防
転倒予防
・転倒が多いことを家族や介護スタッフに伝え、注意を喚起する
薬物療法
  • 丸フルボキサミン注1)や トラドゾン注1)による行動障害の治療
非薬物療法
  • 丸常同行動などを利用した行動療法的アプローチ
常同行動を利用したアプローチ
・デイケア通所、入浴など適応的な行動を常同行動に組み込む

 

 

注1) 適用外使用になります

注2) 症例3 FTDページ「Fronto-temporal dementia(FTD)」の概念参照

 

 

【症例】

 

 

まとめ

ADと非ADの鑑別においては、非ADをいかに的確に診断できるかが重要なポイントとなる。しかし、臨床症状と形態画像の所見が一致しないため、非ADの診断に迷いが生じるケースは少なくない。そのような場合に、本誌で示したようにIMP(パーヒューザミン®注)-SPECT/3D-SSP解析を施行することで、臨床症状の裏付けが得られ、診断に必要となる情報を追加することができる。 それにより、ADも含めた疾患別の治療・ケアがますます進展するものと期待する。

参考文献
 池田 学:アルツハイマー型変性認知症 今日の治療指針2009年版ー私はこう治療している(山口徹,北原光夫,福井次矢総編).医学書院,東京,717-718,2009
 池田 学:老人性認知症 ガイドライン外来診療2008.日経メディカル,東京,357-364,2008
 Manabu Ikeda:Fronto-temporal dementia Therapeutic strategies in dementia(eds. Ritchie CW, Ames DJ, Masters CL, Cummings J). Clinical Publishing, Oxford, 287-299, 2007