違いのわかるSPECT診断シリーズ 3 ADの早期診断 編違いのわかるSPECT診断シリーズ 3 ADの早期診断 編

 

「警告・禁忌を含む使用上の注意」等については添付文書を参照ください。
紹介した症例は臨床症例の一部を紹介したもので、全ての症例が同様な結果を示すわけではありません。
3D-SSPによる画像解析は核医学画像解析ソフトウェアmedi+FALCON*を使用する事で実施可能です。
(*認証番号:301ADBZX00045000)
本コンテンツで使用している画像提供元:日本医科大学武蔵小杉病院

違いのわかるSPECT診断シリーズ 3 ADの早期診断 編 2

MCIからADへの移行例と、SPECTの診断能

 

60歳台後半 女性
主  訴  記銘力障害
現 病 歴 X-6年頃から記銘力障害あり、人の名前が出てこなかったりした。その後、新幹線で席を離れた時に自分の席に戻れないことがあった。X年に当院受診。
既往歴  高脂血症
家族歴  母がアルツハイマー病といわれていたらしい
教育歴  20年
MMSE  22点
すでにSPECTは異常をとらえていました

 

すでにSPECTは異常をとらえていました。
本症例では、初診時に行った123I-IMP脳血流SPECTの3D-SSP解析画像に、後部帯状回から楔前部の血流低下が認められていました。つまりADと診断される前から、ADに特徴的な血流低下が示されていたこととなり、AD早期診断における脳血流SPECTの有用性を示唆するものと考えられます。

 

 
脳の機能変化を客観的に把握できる SPECT(3D-SSP)は、アルツハイマー病の 早期診断に有用です1)
1 臨床診断に、SPECTを追加することで正診率は向上します7)8)
2 MCI例の中でいずれADに移行する群と非移行群を鑑別できる可能性があります1) 2) 3) 4)
3 MRIでは変化が認められなくても、SPECTでは異常を検出できる場合があります5)
4 統計画像で血流低下部位の評価が容易になり6)患者様への説明にも有用です。
5 早期診断・早期治療は、患者様のADL/QOLの向上に寄与します。

Q&A

QSPECTでアルツハイマー病の早期診断ができるのですか?
A認知機能がまだそれほど低下していない段階で、ADの発症を予測できる場合があります。
MCI(軽度認知機能障害)からAD(アルツハイマー病)に進展した例では、MCIの段階で脳血流SPECT検査においてすでに、AD様の血流低下所見がみられたという報告1)2)3)4)があります。
 

QCTやMRIを撮れば十分ではないのですか?
A脳の萎縮が明らかになる前に機能変化を察知することで、早期診断の可能性が高まります。
一般的に早期ADでは脳の形態変化(萎縮)が軽微であるため、CT/MRIでは異常所見を発見するのが困難な場合があります。これに対して脳血流SPECTは、しばしば形態変化に先行する機能変化を検出するため、より早期での発見が期待できます5)
 

QSPECT画像は読影(評価)が難しいのでは?
A統計画像解析(3D-SSP)を使用すれば、血流低下部位の評価が容易になります。
3D-SSP(3次元定位脳表面投射法)は、被験者のSPECTデータを同年代の正常データベースと比較し、血流低下部位のみを表示する画像解析ソフトです。SPECT画像を見慣れていない方でも客観的に血流低下部位を把握でき6)、患者様やご家族への説明にも有用です。

 

参照文献

1)北村 伸:痴呆診療:診断と治療の進歩,Ⅱ.画像診断,2.老年痴呆の画像診断(SPECTを中心に).日内会誌 94:1513 - 1520,2005

2)Ishiwata A,Sakayori O,Minoshima S,et al :Preclinical evidence of Alzheimer changes in progressive mild cognitive impairment : aqualitative and quantitative SPECT study.Acta Neurol Scand 114:91- 96,2006

3)岡村 信行,新川 光俊,荒井 啓行ら: アルツハイマー型痴呆の克服をめざして:IMP-SPECT脳血流画像を用いたMild Cognitive Impairmentの進行予測.日老医誌 37:974-978,2000

4)石渡 明子,蓑島 聡:精神疾患の脳画像解析と臨床応用の将来:老年期痴呆の脳機能画像検査と臨床応用.精神医 44 :1207-1217,2002

5)北村 伸,酒寄 修,越 泰彦,赫 彰郎:痴呆性疾患の画像診断シリーズ1,アルツハイマー型痴呆.ワールドプランニング,東京,1- 31,1997

6)Kubota T, Ushijima Y, Yamada K, et al : Diagnosis of Alzheimer’s disease using brain perfusion SPECT and MR imaging : which modality achieves better diagnostic accuracy? Eur J Nucl Med MolImaging 32:414-421,2005

7)北村 伸,赫 彰郎:痴呆の画像診断.老年期痴呆診断マニュアル.日医師会誌臨時増刊,94-1-09,1995

8)Jagust W,Thisted R,Devous MD Sr,et al:SPECT perfusion imaging in the diagnosis of Alzheimer’s disease.:a clinicalpathologic study.Neurology 56:950-956,2001