ダットスキャン静注 症例集
  • ● 「警告・禁忌等を含む使用上の注意」等については添付文書 ご参照ください。
  • ● 紹介した症例は臨床症例の一部を紹介したもので、全ての症例が同様な結果を示すわけではありません。
  • ● DaTViewによる画像解析は、「核医学画像解析ソフトウェア medi+FALCON」を使用することで実施可能です。(※認証番号:301ADBZX00045000)

多系統萎縮症(Multiple System Atrophy, MSA-P)

症例提供 : 香川県立中央病院神経内科 森本 展年先生

70歳台前半 男性
主 訴
歩行障害、上肢運動障害
現病歴
X-2年8月頃 左上肢の動かしにくさを自覚。
X-1年6月 両上肢の運動障害と動作緩慢があり、近医神経内科受診。
X-1年12月 頑固な便秘・尿閉となり自己導尿開始。このころより構音障害(断綴性)が出現。
X年6月 レボドパ450mg/日まで増量されるも運動障害の改善に乏しいことから、精査目的で当院紹介となる。
現症
初診時は、明らかな脳神経麻痺なし、構音障害(断綴性)あり、明らかな眼振なし。
歩行は開脚歩行。つぎ足歩行は不可。
両上肢安静時振戦あり(左=右)、筋固縮あり(左>右)、姿勢反射障害あり。
起立性低血圧あり(臥位 : 135/87mmHg 脈拍59、立位 : 104/68mmHg 脈拍64)。
排尿障害(尿閉)あり-自己導尿。
治療・経過
多系統萎縮症(MSA-P)と診断し、リハビリ等を行い経過観察中。
MRI
T2WI
T2WI画像
T1WI
T1WI画像
T2*WI
T2*WI画像
T1WI
T1WI画像

小脳・脳幹萎縮 T2*被殻スリットあり。典型的なMSA-P症例である。

脳血流SPECT
統計解析画像(Decrease)
統計解析 画像

小脳及び両側大脳基底核の血流低下あり。

心臓交感神経シンチグラフィ

Early画像におけるH/Mは2.38、Delayed画像におけるH/Mは1.94であり、Washout Rateは40.5%であり、心筋への取り込みはほぼ正常であった。

 

DaTSCAN
Original画像
Original 画像
SPECT-CT Fusion画像
SPECT-CT Fusion 画像
 

DaTView結果画像

DaTView 結果画像

SBRは使用機種、コリメータ、画像再構成法等によって変動します。

 

右優位の線条体への集積低下を認め、症状と画像の左右差は一致している。DaTViewの視覚的な情報ではPDと比べて際立った特徴はなさそうな印象である。

※参考 : 当院でのPD及びMSA-PのSBR結果、PD : SBR=3.68±1.13(n=28)、MSA-P : SBR=3.15±1.35(n=4)、p=0.38

まとめ

本症例も含めた当院の検討結果では、PDとMSA-PとでSBRに有意差はなく、パーキンソニズム症例の鑑別という観点では、DaTView解析結果を単独で用いることは慎重でなければならないが、本症例ではDaTSCANにより黒質線条体系の障害を明らかにできたといえる。今後はDaTViewのオプションとして線条体部位ごとにSBRを解析できる機能が付加されれば、より有益な情報が得られると考えられる。