認知症疾患医療センターの役割と脳SPECT検査の活用事例

脳SPECT検査の活用

形態画像検査に脳SPECT検査を追加することで認知症の鑑別診断に役立つ場合があります。
以下のような場合、脳SPECT検査などの神経画像検査が実施可能である認知症疾患医療センターへの紹介をご検討ください。

初期段階の認知症や軽度認知障害(MCI)が疑われる場合

初期段階の認知症は加齢性変化や老年期のうつ症状との鑑別など、認知症の診断に迷う場合があります。 MCIの場合は経過観察の必要性や、その時期の判断が必要になります。

形態画像で特徴的(疾患特異的)な所見が明らかでない場合

アルツハイマー型認知症(AD)では海馬の萎縮が特徴的な所見ですが、病早期例や若年発症例では萎縮が明らかでない場合があります。疾患特異的な萎縮所見が無い場合でも認知症の否定はできません。

非典型的な病像を示す場合

疑っている認知症の原因疾患として特徴的な症状や経過を示さない場合、病早期の鑑別診断が困難となる場合があります。
神経変性疾患による認知症でADについで頻度の高いレビー小体型認知症では精神症状(うつ症状、幻視以外の幻覚症状、妄想など)が前景となり、精神疾患との鑑別に迷う場合があります。

若年性認知症が疑われる場合

うつ、ストレス、更年期障害等による症状と考えて受診される患者さんもあり、認知症の診断が遅れる場合があります。
また、進行が速いことも多く、現役で仕事や家事をされている方も多いため正確な早期診断が重要になります。

認知症に複数の原因疾患の併存が疑われる場合(神経症状を認める症例)

脳血管障害やパーキンソン病の既往がある場合は認知症の原因疾患の診断やtreatable dementiaの1つである特発性正常圧水頭症との鑑別が困難となる場合があります。