Q7.1人暮らしの認知症患者さんにどのような対策を立てたらよいですか?
1人暮らしの認知症患者さんへの対応はとても難しい問題です。表に示す対策を考えながら、その都度生じる問題点を解決あるいは軽減するアドバイスを行いたいものです。
1人暮らしの患者さんへの対策(1)
同居していない家族が近くにいる場合
1. 介護保険の認定を受ける。
2. 薬剤の管理は近隣に住んでいる家族が関わる。患者さんの服薬状況を定期的に確認する。
3. 日中は可能な限りデイサービスなどを利用する。
4. 買い物や食事、洗濯など日常生活の遂行状況をみながら家族が適宜介入する。できなくなってきたことを家族が支援することが大切。
5. 原則は在宅生活の継続であるが、無理な場合には家族との同居あるいは適切な施設入所を考慮する。
1人暮らしの患者さんへの対策(2)
身寄りが全くいない場合
1. 介護保険の認定を受ける。
2. 訪問ヘルパーや民生委員などが毎日患者さん宅を訪れる。安否の確認と服薬の手伝いなどを目的とする。
3. デイサービスやショートステイなどの公的サービスを最大限利用し、患者さんが1人でいる時間をできるだけ少なくする。
4. 訪問セールスや悪徳商法に騙されないような工夫を考える。
5. 原則は在宅生活の継続であるが、無理な場合には適切な施設入所を考慮する。
まとめ
認知症診療は、診察に慣れてくるとそれほど難しくはありません。大部分の場合、患者さんの日常生活をよく知る家族や周囲の人々からの情報収集と患者さんへの問診・診察によって認知症の有無を判断することは可能です。さらに、CTスキャンやMRIなどの画像検査によって治療可能な認知症を除外することを忘れないようにして下さい。
脳SPECT検査は、認知症の早期診断や早期診断やアルツハイマー型認知症と他の認知症疾患との鑑別に有効な診断スキルです。認知症かな? と疑うが診断に自信を持てない患者さんや認知症の存在は確実だが病型診断の難しい患者さんを診察した際、脳SPECT検査を施行できる最寄りの医療機関に紹介し、より確かな診断を依頼する方法も選択肢のひとつではないかと思われます。