ヨウ素は消化管から吸収され、血中へ移行します。血中へ入ったI-(iodide ion)は、甲状腺の上皮細胞によって血中から能動的に取り込まれます。甲状腺はI-を有機化し、T3及びT4に合成します。T3及びT4は濾胞腔にcolloidとして貯えられ、上皮細胞のpinocytosisにより再び細胞内に取り込まれ加水分解を受けた後、分泌されます。放射性ヨウ素は上記と同じ挙動を示すため、123Iによる甲状腺摂取率は甲状腺の機能状態の診断に、また、甲状腺シンチグラフィは甲状腺の形態等甲状腺疾患の診断における良い指標と考えられます1)。
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経口投与された123Iの大部分は代謝されずヨウ化ナトリウムのまま尿中に排泄されますが、一部は代謝されてジヨードチロジンとなり尿中に排泄されます1)。
甲状腺機能が正常(摂取率は最大15%)な成人における排泄率は、投与後1時間で7.9%、6時間で37.6%、24時間で76.1%でした2)。
2) Berman M 他 : J Nucl Med 16:857-860, 1975
添付文書1)の「14. 適用上の注意」には以下のように記載しています。
14.1 薬剤投与時の注意
検査前1~2週間は、ヨウ素を含む食物や甲状腺摂取率の検査に影響する薬剤は摂らせないこと。
3時間値の方が高い場合はヨード制限不十分をまず第一に考えるとし、甲状腺機能亢進症でヨード代謝が非常に亢進しているときや、ヨード有機化障害による甲状腺ホルモン合成障害の際などでも同じ現象がみられることがあるとの報告1)があります。
123Iと99mTcO4-による方法があると報告されています1)。
プランマー病における甲状腺シンチグラフィ(123I、99mTcO4-)で、結節(腫瘤)に強い集積がみられた例が報告されています2)。また、「自律性にホルモンを分泌している結節はホルモンの材料となるヨードやテクネシウム(99mTcO4-)をナトリウム/ヨードシンポーター(Na+/I+symporter;NIS)によりTSH非依存性に濾胞細胞に取り込みます。ホルモン過剰となりTSHが抑制された状態では正常組織の取り込みは消失または低下するので、周囲組織との間に取り込み差ができて123Iまたは99mTcO4-で検出することができます」と記載している報告3)もあります。
2) 原田 種一 : 甲状腺・上皮小体の画像診断 p.180-182, 1994
3) 深田 修司 : あなたも名医!外来でどう診る?甲状腺疾患 p.71-78, 2011
異所性甲状腺腫は舌根部に認められることが多いですが、99mTcO4-では唾液腺への分布と重なり判別が困難となることから、123Iが望ましいとしている報告1)があります。
ただし、小児については、99mTcO4-を優先的に行うことが多い1)、カプセルの内服が困難な場合は99mTcO4-で施行する2)、との報告もあります。
検査方法については、舌根部の異所性甲状腺腫疑いの場合は頸部側面像も必ず追加するとしている報告3)があります。また、SPECT/CTが有用との報告4)もあります。
2) 竹内 昭 他 : 核医学Q&A p.370-371, 2001
3) 日本放射線技術学会核医学分科会 : 放射線医療技術学叢書(23) 核医学における臨床技術 p.92-93, 2005
4) Hummel J 他 : Case Rep Radiol 2017:9084207, 2017