違いのわかるSPECT診断シリーズ 8 ADと非ADの鑑別 編

VaD
「警告・禁忌を含む使用上の注意」等については添付文書を参照ください。
紹介した症例は臨床症例の一部を紹介したもので、全ての症例が同様な結果を示すわけではありません。
3D-SSPによる画像解析は核医学画像解析ソフトウェアmedi+FALCON*を使用する事で実施可能です。
(*認証番号:301ADBZX00045000)
本コンテンツで使用している画像提供元:熊本大学

症例1 VaD
右淡蒼球梗塞、左内包膝部梗塞で著しい無為や幻視、認知機能低下が見られ、 SPECTで前頭葉や後頭葉の血流低下が明らかになったVaD

患者背景

 

70歳台半ば 右利き男性

 

主  訴  ない物が見える(家族)
既往歴・
合併症
 高血圧、糖尿病、慢性腎不全
X-1年9月まで日常生活は自立していた。
X-1年9月、視力の低下があり眼科で糖尿病性網膜症と診断された。同月より急に意欲が低下し、自らほとんど話をしなくなった。そのためMRIを撮影したところ右大脳基底核に急性期のラクナ伷塞が認められた。
X年6月より、いないはずの知人や子供が見えるようになった。自宅にいることがわからず「ここはどこ?」と言ったリ、 トイレの場所がわからなくなったためX年7月、当科初診となった。
神経所見  ●歩行時のふらつきがあり姿勢反射障害(+)
 ●左上肢のdysdiadochokinesis(変換運動障害)
神経心理所見  ●記憶障害は軽く、むしろ注意障害が著しい
 ●思考緩慢が目立つ
精神症状  ●無為・無関心
 ●幻視

 

POINT
鑑別ポイント
時期が明確で、かつ階段状の増悪、著しい無為・無関心など、VaDに典型的な症状がみられる。

 

MRI画像

MRI画像
臨床症状と形態画像との不一致
MRIでは、右淡蒼球と左内包膝部の梗塞が認められる。部位的には臨床症状と矛盾しないが、画像所見に比して精神症状が重い。

 

やじるし

 

IMP-SPECT/3D-SSP解析画像

機能画像による臨床症状の裏付け
脳血流SPECT/3D-SSP解析により、前頭葉と後頭葉の広範な血流低下が捉えられたことで、VaDとの診断に必要となる情報が追加された。
早急にデイケア、デイサービスを導入し、活動性の向上を図った結果、現在はMMSEスコアの若干の改善が認められている。