違いのわかるSPECT診断シリーズ 8 ADと非ADの鑑別 編

DLB
「警告・禁忌を含む使用上の注意」等については添付文書を参照ください。
紹介した症例は臨床症例の一部を紹介したもので、全ての症例が同様な結果を示すわけではありません。
3D-SSPによる画像解析は核医学画像解析ソフトウェアmedi+FALCON*を使用する事で実施可能です。
(*認証番号:301ADBZX00045000)
本コンテンツで使用している画像提供元:熊本大学

症例2 DLB
MRIで萎縮所見に乏しく、SPECTにて後頭葉血流低下を認めたDLB

患者背景

 

80歳台前半 右利き女性

 

     
主  訴  家の中に人が入ってきて眠れない
現 病 歴 X-1年夏頃より深夜、誰もいないのに誰かと話をする状態がみられるようになった。本人は「夜中に誰かが家に来て、窓の伱間からマイクを入れて私の寝言を録音しようとする」「人影と懐中電灯の光がみえるから人が来ているのがわかる」「窓際で『電気がついた、いるぞ』と聴こえた」と訴えていた。また、昼間にも、誰もいないのに子供が来ているからといって千円を渡そうとするなどの行動が認められるようになった。X年9月に幻視・幻聴の精査目的で当科初診となった。
神経所見  ●明らかな異常所見なし
神経心理所見  ●MMSE:22点  CDR=1
 ●記憶障害は比較的軽度
 ●構成障害、実行機能障害
精神症状  ●家の仕事がきちんとできるレベル~異食するレベル(変動性)
 ●幻視(死んだ人、子供)、幻聴、実体意識性
 ●体系化した妄想(40歳男性、N氏への被害妄想)
 ●レム睡眠行動障害

 

POINT
鑑別ポイント
パーキンソニズムはまだ出現していないが、病歴、認知機能の激しい変動、幻視などからDLBが疑われる。

 

MRI画像
臨床症状と形態画像との不一致
MRIでは、側脳室下角の開大はほとんど認められない。萎縮や血管病変に関しても、80歳台という年齢を考えると異常所見とはいえないレベルである。

 

矢印

 

IMP-SPECT画像
後頭葉の血流低下所見の指摘は容易ではない。

 

矢印

 

IMP-SPECT/3D-SSP解析画像

機能画像による臨床症状の裏付け
3D-SSP解析により、軽度ではあるものの明らかに後頭葉に限局した血流低下が認められ、DLBである可能性が高まった。現在、初期のDLBとの診断のもと、フォローを行っている。