・紹介した症例は臨床症例の一部を紹介したもので、全ての症例が同様な結果を示すわけではありません。
・3D-SSPによる画像解析は「核医学画像解析ソフトウェア medi+FALCON」※を使用する事で実施可能です。(※認証番号:301ADBZX00045000)
Q4.うつと認知症の鑑別における脳SPECT検査の役割は?
うつでみられる脳血流異常のパターンはいまだ十分確立していません(文献的には前頭葉や前部帯状回の異常が多い)が、臨床症状から両者の鑑別が困難な場合、脳SPECT検査が鑑別に役立つことがあります。
・2年前から物忘れと意欲の低下がみられ始めた。たとえば、同じことを何回も聞く、頼んだことをしばらくすると忘れてしまう、メモしないと伝言を伝えられない、自分で行動しないなどの症状がみられた。
・他院で老年期うつ病と診断され、1年にわたり抗うつ薬の投与を受けていたが改善がみられないため、娘さんが物忘れ外来に連れてきた。内科的ならびに神経学的に異常はみられない。日常生活では、やや意欲に乏しいが整容や入浴に支障はみられない。
・MMSEは23点(23/24が認知症/非認知症の目安)。MRIでは両側側頭葉優位に脳萎縮がみられる。
脳SPECT検査の結果アルツハイマー型認知症に特徴的な所見がみられることから、うつ病ではなく認知症と診断した。
画像提供元:財団新和会 八千代病院
80歳台前半
・5年前から聴力低下で補聴器を使用し始めた頃から不眠、抑うつ気分、行動制止がみられ、総合病院精神科にてうつ病と診断され抗うつ薬が開始された。
・4年ほど継続して服薬した結果、抑うつ状態は改善してきたが、最近物忘れが目立ってきた。別居している息子宅に何回も電話をかけてくるようになっている。
・前医から認知症の鑑別依頼があり物忘れ外来に受診となった。
・MMSEは30点満点で23点(3物品の再度復唱不可、日時の見当識5課題中2つが不可)。
画像提供元:財団新和会 八千代病院